問題番号 : 119A35

48歳の女性。息切れを主訴に来院した。6か月前から労作時の息切れを自覚するようになり徐々に悪化してきた。最近は軽労作でも息切れが激しく,さらに動悸も自覚するようになったため受診した。7歳時に発熱と関節痛が続き小学校を長期間欠席した。その際に輪のような形の赤い皮疹が出現したことを記憶している。5年前に子宮体癌の手術歴がある。数日前から,う歯治療を実施している。喫煙は20歳から10本/日を5年間,以後は禁煙している。飲酒は機会飲酒。父は80歳時に急性心筋梗塞で死亡。母は78歳時に脳梗塞で死亡。意識は清明。体温36.2℃。脈拍92/分,不整。血圧124/82mmHg。呼吸数16/分。SpO2 95%(room air)。軽度の頸静脈の怒張を認める。心音はⅠ音が亢進し,心尖部で拡張中期ランブルを聴取する。両肺にcoarse cracklesを聴取する。両下肢に軽度の浮腫を認める。血液所見:赤血球460万,Hb 13.3g/dL,Ht 42%,白血球12,800,血小板21万。血液生化学所見:CK 61U/L(基準41~153),尿素窒素12mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,BNP 189 pg/mL(基準18.4以下)。CRP 0.1mg/dL。経胸壁心エコー検査の傍胸骨長軸像を下に示す。
 この患者の疾患の発症に関与している病歴はどれか。

正解
a
国試正答率
91%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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