本問は,118F70~72の連問の一部です。
70歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。
現病歴:3か月前に妻が死亡した後,約1週間前から生きていくのが非常に辛いと悩んでいた。本日,自宅で意識を失った状態で倒れているところを息子が発見し,救急車を要請した。救急搬送中に10分間のけいれんを認めた。本人が倒れていた部屋には空の瓶と遺書があった。
既往歴:高血圧症で降圧薬を内服している。
生活歴:息子と2人暮らし。自宅で農業を営んでいる。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識レベルはJCSⅢ-100。身長169cm,体重72kg。体温38.8℃。心拍数120/分,整。血圧120/82mmHg。呼吸数32/分。SpO2 85%(リザーバ付マスク10L/分 酸素投与下)。瞳孔径は左右2.0mm。対光反射は緩慢である。口の周囲に吐物と唾液の混ざったものを認める。全身に著明な発汗を伴い,全身の筋肉はけいれんしている。
検査所見:尿所見:淡黄色透明,蛋白(-),糖(-),潜血(-)。血液所見:赤血球502万,Hb 15.1g/dL,Ht 48%,白血球12,400,血小板30万。血液生化学所見:総蛋白7.3g/dL,アルブミン4.6g/dL,総ビリルビン0.9mg/dL,直接ビリルビン0.3mg/dL,AST 22U/L,ALT 18U/L,LD 195U/L(基準124~222),ALP 100U/L(基準38~113),コリンエステラーゼ〈ChE〉40U/L(基準240~486),尿素窒素12mg/dL,クレアチニン0.5mg/dL,血糖240mg/dL,Na 140mEq/L,K 3.1mEq/L,Cl 101mEq/L。CRP 11mg/dL。心電図は洞性頻脈でST-T変化は認めない。胸部エックス線写真で心胸郭比59%(臥位で撮影)。頭部単純CTで異常を認めない。
この患者のトキシドロームで最も考えられるのはどれか。