問題番号 : 118C62

本問は,118C60~62の連問の一部です。

78歳の男性。嗄声を主訴に来院した。
現病歴:1か月前に嗄声が出現した。2週間前から飲水時に咳嗽が出現するようになり自宅近くの診療所で鎮咳薬を処方された。咳嗽は改善せず,3日前から喀痰に血液が混じるようになった。
既往歴:3年前に原発性肺癌のために右肺下葉切除術が施行され経過観察となっていた。1年前から自己判断で定期的な受診を中断していた。
生活歴:65歳までは会社員。妻と2人暮らし。喫煙は70歳まで20本/日を50年間。飲酒はビール350mL/日。
家族歴:弟が70歳台で胃癌。
現 症:意識は清明。身長162cm,体重54kg。体温36.2℃。脈拍72/分,整。血圧124/72mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張は認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-),潜血(-)。血液所見:赤血球380万,Hb 13.8g/dL,Ht 35%,白血球7,600,血小板24万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL,アルブミン3.0g/dL,総ビリルビン0.7mg/dL,AST 25U/L,ALT 19U/L,LD 343U/L(基準124~222),尿素窒素24 mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL。胸部エックス線写真で右第1弓の突出を認める。胸部造影CTで縦隔リンパ節腫大を認めた。腹部造影CTと骨シンチグラフィで異常を認めなかった。腫大した縦隔リンパ節に対して超音波内視鏡下に穿刺生検を施行し,肺腺癌術後のリンパ節再発と診断された。
その後,薬剤性肺障害が改善し人工呼吸器から離脱,一般病棟へ転棟となった。リハビリテーションを開始して身体機能と食事摂取量は回復し,入院してから2か月後に自宅退院となった。退院して1か月後に家族に付き添われて外来受診した。かろうじて自力歩行しており体重は3か月前から10kg減少していた。全身精査を行ったところ,縦隔リンパ節は以前よりさらに腫大し新たに肝臓と肺に多発転移を認めた。患者本人と家族は積極的な治療を望んでいない。疼痛を認めないが,癌悪液質が進行していると診断された。
 この時点で行うべき対応はどれか。2つ選べ

正解
b, c
国試正答率
100%

Assessment
⑨かろうじて自力歩行 ⇒ ECOGパフォーマンスステータ

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

無料会員登録して、解説をすべて見る