問題番号 : 117F67

本問は,117F65~67の連問の一部です。

56歳の男性。右季肋部痛を主訴に来院した。
現病歴:以前から右背部痛を自覚していたが,1か月前から痛みの頻度が増加し,就寝初期の右季肋部痛も伴うようになったため自宅近くの医院を受診した。腹部超音波検査で胆嚢結石を認め,手術目的に紹介受診した。
既往歴:1年前から高血圧症と2型糖尿病で降圧薬と経口糖尿病薬を内服している。
生活歴:喫煙は20本/日を35年間。飲酒は焼酎1合/日を10年間。
家族歴:母が2型糖尿病で治療中である。
現 症:意識は清明。身長171cm,体重70kg。体温36.1℃。脈拍72/分,整。血圧148/96mmHg。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で,右季肋部に圧痛を認める。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-),ケトン体(-),潜血(-)。血液所見:赤血球580万,Hb 15.9g/dL,Ht 51%,白血球8,400(好中球70%,好酸球1%,好塩基球1%,単球4%,リンパ球24%),血小板27万,PT-INR 0.95(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白7.6g/dL,アルブミン5.0g/dL,総ビリルビン0.8mg/dL,AST 13U/L,ALT 18U/L,LD 120U/L(基準120~245),ALP 55U/L(基準38~113),γ-GT 16U/L(基準8~50),CK 50U/L(基準30~140),尿素窒素10mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL,尿酸6.5mg/dL,血糖95mg/dL,HbA1c 6.8%(基準4.6~6.2),トリグリセリド207mg/dL,HDLコレステロール242mg/dL,LDLコレステロール162mg/dL,Na 142mEq/L,K 4.0mEq/L,Cl 102mEq/L,Ca 9.3mg/dL。CRP 0.1mg/dL。心電図で異常を認めない。胸部エックス線写真で心胸郭比46%。上部消化管内視鏡検査で異常所見を認めない。腹部超音波検査,腹部単純CT及び磁気共鳴胆管膵管撮影〈MRCP〉で胆嚢内に径5~8mmの結石を数個認めたが,他の異常所見は認めない。
胆嚢結石症と診断し,待期的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を予定することとした。
腹腔鏡下胆嚢摘出時に胆嚢底部を挙上すると脈管損傷に注意を要する領域(Calot三角)が出現する。解剖図を示す。
この領域の境界はどれか。3つ選べ

正解
a, c, d
国試正答率
87%

画像診断
上画像参照。

Assessment

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