問題番号 : 117E46

本問は,117E45~46の連問の一部です。

56歳の女性。乾性咳嗽と呼吸困難を主訴に救急車で搬入された。
現病歴:昨日38.3℃の発熱,本日,乾性咳嗽と呼吸困難が出現したため救急車を要請した。①2日前に同居している21歳の息子が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症した。②息子の陽性が判明した時点で,本人は無症状だったが自宅にあった③鼻腔ぬぐい液の新型コロナウイルス〈SARS-CoV-2〉抗原定性検査を自身で行い,陰性だったという。
既往歴④48歳から高血圧症で降圧薬を内服している。新型コロナ(SARS-CoV-2)ワクチンは未接種。
生活歴⑤無職。21歳の息子と2人暮らしで,最近1週間は朝食と夕食をともにしていた。喫煙歴と飲酒歴はない。
家族歴:息子が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。
現 症:意識は清明。身長158cm,体重65kg。体温38.5℃。心拍数110/分,整。血圧148/94mmHg。呼吸数20/分。SpO2 100%(マスク5L/分 酸素投与下)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。咽頭に軽度発赤を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部と四肢とに異常を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-),潜血(-)。血液所見:赤血球400万,Hb 12.6g/dL,Ht 38%,白血球6,800,血小板11万,PT-INR 1.1(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:LD 236U/L(基準120~245),尿素窒素26mg/dL,クレアチニン0.9mg/dL,血糖98mg/dL,Na 141mEq/L,K 4.5mEq/L,Cl 102mEq/L。CRP 3.0mg/dL。心電図で異常を認めない。
搬入時に再度施行した鼻咽頭ぬぐい液を用いた新型コロナウイルス〈SARS-CoV-2〉抗原定性検査は陰性だった。
 次に行うべき最も優先度の高い検査はどれか。

正解
a
国試正答率
80%

Assessment
①昨日から38.3℃の発熱,乾性咳嗽,呼吸困難⇒急性の呼

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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