問題番号 : 117C62

本問は,117C60~62の連問の一部です。

76歳の男性。食欲不振と倦怠感を主訴に来院した。
現病歴:1週間前から倦怠感と水様便(1日2回~4回)が出現した。食欲がなく,おかゆを無理に食べている。悪心はあるが嘔吐,腹痛,黒色便および血便はない。体重が3kg減少した。37℃台の微熱があるが悪寒戦慄はない。
既往歴:高血圧症でカルシウム拮抗薬を内服している。アレルギーなし。
生活歴:妻と2人暮らし。喫煙は20歳から40本/日。飲酒歴はない。
家族歴:兄が60歳台で大腸癌。
現 症:意識は清明だがややぐったりしている。身長166cm,体重69kg。体温37.5℃。脈拍104/分,整。血圧86/50mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96%(room air)。皮膚は乾燥し,色素沈着を認めない。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥しており咽頭発赤はない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,圧痛はなく,肝・脾を触知しない。四肢末梢は冷たいがチアノーゼや浮腫を認めない。ばち指を認める。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-),潜血(-)。血液所見:赤血球437万,Hb 12.3g/dL,Ht 34%,白血球5,400(好中球45%,好酸球21%,好塩基球1%,単球9%,リンパ球24%),血小板23万。血液生化学所見:総蛋白6.3g/dL,アルブミン3.7g/dL,総ビリルビン0.5mg/dL,直接ビリルビン0.2mg/dL,AST 43U/L,ALT 78U/L,LD 169U/L(基準120~245),ALP 200U/L(基準38~113),γ-GT 96U/L(基準8~50),CK 100U/L(基準30~140),尿素窒素11mg/dL,クレアチニン1.0mg/dL,尿酸3.7mg/dL,血糖92mg/dL,Na 118mEq/L,K 4.6mEq/L,Cl 89mEq/L,Ca 8.4mg/dL。血清浸透圧240mOsm/L(基準275~288),尿浸透圧572mOsm/L(基準50~1,300),尿中Na 84mEq/L。胸部エックス線写真(A)と胸腹部造影CT(B)(C)を示す。
治療を行っていたが,がんが再発し全身状態が悪化した。
この患者の意思決定のプロセスとして適切でないのはどれか。

正解
d
国試正答率
100%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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