問題番号 : 117A29

67歳の女性。急性心筋梗塞の治療のため入院3日目である。3日前に胸痛と気分不快が出現し,緊急入院となった。同日,急性心筋梗塞の診断で冠動脈造影が施行され,引き続き,完全閉塞を認めた左前下行枝にステント留置が行われた。本日,病棟で突然,息苦しさを訴えた。収縮期血圧は 120mmHg台から60mmHg台に低下し,SpO2も80%前後に急速に低下したため気管挿管が行われた。気管チューブからは泡沫状のピンク色の痰の流出を認めた。心エコー検査では左室駆出率は保たれていたが,左房内に逸脱する構造物(A)~(C,矢印)を認め,カラードプラ心エコー検査で以前に認めなかった高度の僧帽弁逆流を認めた。
 急激な血行動態の増悪の原因と考えられるのはどれか。

正解
a
国試正答率
98%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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