問題番号 : 116F64

本問は,116F62~64の連問の一部です。

 48歳の女性。左側腹部痛のため救急車で搬入された。
現病歴:3日前に自宅で転倒した際,左胸部を強打した。自宅近くの診療所で左下位肋骨骨折と診断され,バストバンドによる固定後に帰宅した。今朝,犬の散歩中,急に左側腹部痛が出現し,倦怠感も伴うため夫が救急車を要請した。
既往歴:35歳時に急性虫垂炎で手術。
生活歴:夫,中学生の長男と3人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:母親が糖尿病で加療中である。
現 症:意識は清明。身長160cm,体重53kg。体温37.0℃。心拍数104/分,整。血圧110/62 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜に異常を認めない。心音と呼吸音に異常を認めない。左側腹部に圧痛と筋性防御を認めた。腸雑音に異常を認めない。歩行に異常を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-),潜血(-),沈渣に赤血球を認めない。血液所見:赤血球385万,Hb 11.4g/dL,Ht 34%,白血球12,600,血小板19万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL,アルブミン4.2g/dL,総ビリルビン0.6mg/dL,直接ビリルビン0.3mg/dL,AST 32U/L,ALT 20U/L,LD 230U/L(基準120~245),ALP 103U/L(基準38~113),尿素窒素20mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL,尿酸5.4mg/dL,血糖88mg/dL,Na 140mEq/L,K 4.5mEq/L,Cl 105 mEq/L。CRP 0.1mg/dL。胸部エックス線写真で胸水貯留を認めない。心電図は心拍数104/分の洞調律でST-T変化を認めない。
 入院し,経過をみた。翌日のバイタルサイン:体温37.2℃。脈拍128/分,整。血圧98/50 mmHg。呼吸数20/分。
 この時点で適切な対応はどれか。2つ選べ

正解
a, c
国試正答率
86%

Assessment
①左胸部強打,左下位肋骨骨折,胸水貯留なし ⇒ 血胸は否

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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