問題番号 : 115D58

 77歳の女性。労作時呼吸困難と咳嗽を主訴に来院した。1か月前から労作時呼吸困難,咳嗽が出現したため受診した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。喫煙歴はない。ペットは飼育していない。意識は清明。体温37.2℃。脈拍96/分,整。血圧116/60mmHg。呼吸数20/分。SpO2 89%(room air)。皮疹は認めない。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音に異常を認めない。呼吸音は両側前胸部に気管支呼吸音,両側背部にfine cracklesを聴取する。関節腫脹は認めない。下腿に浮腫は認めない。筋力低下は認めない。血液所見:Hb 12.2g/dL,白血球9,400,血小板24万。血液生化学所見:AST 20U/L,ALT 8U/L,LD 293U/L(基準120~245),尿素窒素12mg/dL,クレアチニン0.7mg/dL。KL-6 2,919U/mL(基準500未満)。免疫血清学所見:CRP 3.6mg/dL,β-D-グルカン5.0pg/mL(基準10以下)。抗核抗体40倍(基準20以下),MPO-ANCA陰性,PR 3-ANCA陰性,抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体〈抗ARS抗体〉陽性。胸部エックス線写真(A)及び肺野条件の胸部単純CT(B)を示す。呼吸状態の悪化を認め,治療を行い改善した。改善後の胸部エックス線写真(C)を下に示す。
 効果を示した治療はどれか。

正解
b
国試正答率
97%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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