本問は,114F69~71の連問の一部です。
76歳の女性。胃癌の治療のため来院した。
現病歴:健康診断の上部消化管内視鏡検査と生検で胃癌と診断されたため治療の目的で受診した。同健康診断で血中Helicobacter pylori抗体陽性を指摘された。
既往歴:20年前から高血圧症で自宅近くの診療所に通院中。
生活歴:夫と長女の家族と暮らしている。喫煙歴と飲酒歴はない。
家族歴:父親が心筋梗塞。母親が胃癌。
現 症:意識は清明。身長157cm,体重48kg。体温36.5℃。脈拍76/分,整。血圧132/86mmHg。呼吸数14/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。
検査所見:血液所見:赤血球418万,Hb 12.7g/dL,Ht 40%,白血球4,300,血小板22万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL,アルブミン4.0g/dL,総ビリルビン0.8mg/dL,AST 25U/L,ALT 19U/L,LD 193U/L(基準120~245),ALP 147U/L(基準115~359),尿素窒素18mg/dL,クレアチニン0.9mg/dL,Na 139mEq/L,K 4.4mEq/L,Cl 103mEq/L。上部消化管内視鏡像を別に示す。
その後の経過:病理組織結果から治癒切除と診断し,上部消化管内視鏡検査で切除治療後の潰瘍の治癒を確認した。その後,Helicobacter pyloriに対する除菌治療を行うことにした。医師と患者の会話を以下に示す。
医師:「①ピロリ菌の除菌治療のためにNSAIDと3種類の抗菌薬を処方します。②1日3回朝昼晩で,1か月間服用していただきます。今までにお薬のアレルギーはありませんか」
患者:「ありません」
医師:「副作用として下痢や皮疹がみられることがありますが,③副作用が出ても我慢して内服を続けてください」
患者:「わかりました」
医師:「④除菌が成功すると胃癌は発生しなくなりますが,⑤1~2年に1度は胃の内視鏡検査を受けることをお勧めします」
患者:「わかりました」
医師:「除菌ができたかどうかは2か月後に検査をします」
下線部のうち適切なのはどれか。