問題番号 : 114F67

本問は,114F66~68の連問の一部です。

 42歳の男性。息切れを主訴に来院した。
現病歴:先週から労作時に息切れがしていた。食欲も低下し仕事も休んでいたが,息切れが次第に悪化したため来院した。
既往歴:この1年間で帯状疱疹を3回発症し,いずれも抗ウイルス薬で治療した。
生活歴:1人暮らし。喫煙は10本/日。飲酒は機会飲酒。
社会歴:職業はコンサルタント会社勤務。
家族歴:父は肝癌で死亡。
現 症:意識は清明。身長175cm,体重44kg。体温37.8℃。脈拍100/分,整。血圧124/60mmHg。呼吸数32/分。SpO2 92%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。舌に腫瘤状病変を認める。心音に異常を認めない。両側上胸部で吸気終末にfine cracklesを聴取する。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。
検査所見:血液所見:赤血球390万,Hb 10.0g/dL,Ht 32%,白血球8,200,CD4陽性細胞数35/μL(基準800~1,200),血小板12万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL,総ビリルビン1.0mg/dL,直接ビリルビン0.6mg/dL,AST 22U/L,ALT 16U/L,LD 380U/L(基準120~245),CK 30U/L(基準30~140)。CRP 7.3mg/dL,抗HIV抗体スクリーニング検査陽性,Western blot法によるHIV-1抗体確認検査陽性。喀痰抗酸菌染色は3回陰性。クリプトコックス血清抗原陰性。動脈血ガス分析(room air):pH 7.48,PaCO2 30Torr,PaO2 68Torr,HCO3 24mEq/L。胸部CTを別に示す。
 肺病変の確定診断のために気管支肺胞洗浄を行った。
 得られた検体の病理診断をする際に,最も有用な染色法はどれか。

正解
b
国試正答率
93%

Assessment
Step1 42歳の男性 労作時の息切れ,食

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

無料会員登録して、解説をすべて見る