問題番号 : 114B42

本問は,114B41~42の連問の一部です。

 80歳の女性。失神のため救急車で搬入された。
現病歴:1か月前から咳が出現し,5m歩行しても息切れするようになった。発熱や喀痰,胸痛はなく,体重が1か月で3kg増加した。本日,自宅の居間で倒れているのを家族が発見し,救急車を要請した。救急隊到着時には意識はすでに回復し清明であった。
既往歴:高血圧症および不眠症があり,降圧薬と睡眠薬を内服中である。
アレルギー歴:特記すべきことはない。
生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。認知機能は正常で介護保険サービスは利用していない。夫とは8年前に死別し,現在は息子夫婦および孫3人と同居している。
家族歴:突然死や心疾患はなく,姉は70歳時に乳癌で死亡した。
現 症:意識は清明。身長154 cm,体重49 kg。体温35.9℃。心拍数80/分,整。血圧100/78 mmHg。呼吸数22/分。SpO2 98%(マスク5 L/分酸素投与下)。眼瞼結膜は貧血を認めず,眼球結膜に黄染を認めない。頸部リンパ節腫脹および甲状腺腫大を認めない。心音は胸骨右縁第2肋間を最強点とするⅢ/Ⅵの収縮期駆出性雑音を聴取し,頸部への放散を認める。呼吸音は両側胸部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。両側下腿に軽度の圧痕性浮腫を認める。神経診察で異常を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-),ケトン体(-),潜血(-)。血液所見:赤血球444万,Hb 13.5 g/dL,Ht 41%,白血球6,900(好中球65%,好酸球2%,好塩基球0%,単球4%,リンパ球29%),血小板22万。血液生化学所見:総ビリルビン0.5 mg/dL,AST 21 U/L,ALT 18 U/L,LD 175 U/L(基準120~245),ALP 166 U/L(基準115~359),γ-GT 35 U/L(基準8~50),CK 121 U/L,尿素窒素20 mg/dL,クレアチニン0.7mg/dL,血糖103 mg/dL,Na 142 mEq/L,K 3.9 mEq/L,Cl 101 mEq/L。脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉2,200 pg/mL(基準18.4以下)。心電図(A)及び胸部エックス線写真(B)(C)を別に示す。

 この患者でみられる身体所見はどれか。

正解
a
国試正答率
94%

Assessment
Step1 80歳の女性 失神で救急搬送

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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