問題番号 : 113F53

68歳の女性。全身倦怠感,皮疹および四肢の脱力を主訴に来院した。3か月前から露光部皮膚に紅斑が出現した。3週間前から全身倦怠感が出現し,起床,起立および上肢挙上に困難を感じるようになった。1週間前から全身に皮疹が拡大し,食思不振も出現したため受診した。体温37.3℃。脈拍92/分,整。血圧122/88mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。上眼瞼および前額部に紅斑を認める。体幹など広範囲に鱗屑を伴った紅斑を認め,一部にびらんや痂皮を認める。口腔粘膜に異常を認めない。心音に異常を認めない。両側胸部にfine cracklesを聴取する。頸部屈筋,四肢近位筋は徒手筋力テストで4。尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球416万,Hb 13.9g/dL,Ht 39%,白血球7,400(好中球70%,好酸球2%,好塩基球1%,単球13%,リンパ球14%),血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL,AST 137U/L,ALT 55U/L,LD 421U/L(基準176~353),尿素窒素17mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,CK 2,010U/L(基準30~140)。免疫血清学所見:CRP 1.1mg/dL,抗核抗体陰性,抗Mi-2抗体陰性,抗MDA5抗体陰性,抗TIF1-γ 抗体陽性。胸部CTで両側肺底部背側胸膜直下に限局した軽度の線維化病変を認める。手指および下肢の皮疹(A)(B)を別に示す。
 この患者で最も併発しやすいのはどれか。

正解
a
国試正答率
95%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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