問題番号 : 113E51

本問は,113E50~51の連問の一部です。

 79歳の男性。咳嗽と呼吸困難を主訴に来院した。
現病歴:半年前から咳嗽と労作時の息切れを自覚するようになった。市販の鎮咳薬を服用して様子をみていたが,症状は持続していた。3日前から咳嗽の増加と呼吸困難の悪化とを自覚したため受診した。
既往歴:高血圧症。
生活歴:喫煙は15本/日を35年間。55歳で禁煙。飲酒は機会飲酒。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:身長162cm,体重59kg。体温36.5℃。脈拍68/分,整。血圧140/90mmHg。呼吸数22/分。SpO2 91%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音に異常を認めない。呼吸音は背側下胸部中心にfine cracklesを聴取する。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。
検査所見:血液所見:赤血球403万,Hb 12.8g/dL,Ht 31%,白血球7,700,血小板18万。血液生化学所見:AST 24U/L,ALT 11U/L,LD 442U/L(基準176~353),γ-GTP 16U/L,尿素窒素14mg/dL,クレアチニン0.5mg/dL,尿酸8.8mg/dL,Na 141mEq/L,K 3.9mEq/L,Cl 105 mEq/L,KL-6 1,300U/mL(基準500未満)。CRP 0.3mg/dL。胸部CTを別に示す。
 認められる可能性が高いのはどれか。

正解
c
国試正答率
96%

画像診断
上画像参照。
胸膜直下主体に斑状の小嚢胞状陰影,網状影,下葉背側に蜂

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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