63歳の男性。繰り返す数秒間の意識消失を主訴に救急車で搬入された。昨夕,テレビを見ている時,胸部の違和感が出現し,その直後に目の前が真っ暗になり5秒程度意識を失った。今朝から30分に1回くらいの間隔で,同様の数秒間の失神発作を繰り返したため,家族が救急車を要請した。意識消失に一致して心電図モニターに異常波形(A)を認め,このとき脈拍を触知しなかった。既往歴は10年前から高血圧症とうつ病で,サイアザイド系降圧利尿薬,カルシウム拮抗薬および三環系抗うつ薬を内服している。家族歴に特記すべきことはない。非発作中の意識は清明。脈拍60/分,整。血圧136/78mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球458万,Hb 12.9g/dL,Ht 45%,白血球7,600,血小板16万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL,アルブミン3.7g/dL,AST 32U/L,ALT 26U/L,LD 240U/L(基準176~353),CK 112U/L(基準30~140),尿素窒素16mg/dL,クレアチニン0.9mg/dL,血糖98mg/dL,Na 140mEq/L,K 1.9mEq/L,Cl 99 mEq/L,Ca 11.2mg/dL。CRP 0.1mg/dL。非発作時の12誘導心電図(B)を別に示す。心エコー検査で軽度の左室壁肥厚を認めるが壁運動は正常範囲内である。
この時点の対応として適切でないのはどれか。