本問は,113C57~59の連問の一部です。
58歳の男性。息苦しさと左胸部痛を主訴に救急車で搬入された。
現病歴:30分前に職場でデスクワーク中,突然の息苦しさと左胸部全体の痛みが出現した。症状が強く,職場の同僚が救急車を要請した。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒はビール350mL/日。
家族歴:父親が胃癌で死亡。
現 症:意識は清明。身長160cm,体重86kg。体温36.2℃。脈拍108/分,整。血圧128/70 mmHg。呼吸数30/分。SpO2 93%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。Ⅱ音の亢進を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。神経診察に異常を認めない。ポータブルの胸部エックス線写真で異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球450万,Hb 13.3g/dL,Ht 40%,白血球6,200,血小板18万。血液生化学所見:AST 32U/L,ALT 45U/L,LD 260U/L(基準176~353),CK 98U/L(基準30~140),尿素窒素11mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,血糖102mg/dL。心エコー検査で右心系の拡大および左室の圧排像を認める。
検査の準備中,突然息苦しさが悪化し,その後意識レベルはJCSⅡ-10まで低下した。心拍数128/分,整。血圧70/40mmHg。SpO2は測定不能。頸静脈の怒張を認める。
考えられる病態はどれか。