問題番号 : 112E42

本問は,112E42~43の連問の一部です。

 68歳の女性。意識障害と右上下肢の麻痺のため救急車で搬入された。
現病歴:3年前から高血圧症と心房細動に対して降圧薬と抗凝固薬との内服治療を受けていた。夕方,夫との買い物の途中で右手に力が入らなくなり,右足の動きも悪くなった。帰宅後,玄関先に倒れ込んでしまい意識もはっきりしない様子であったため,夫が救急車を要請した。
既往歴:7歳時に急性糸球体腎炎で入院。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父親が高血圧症で治療歴あり。
現 症:意識レベルはGCS 9(E3V2M4)。身長158cm,体重54kg。体温35.8℃。心拍数68/分,不整。血圧192/88mmHg。呼吸数10/分。SpO2 97%(鼻カニューラ4L/分 酸素投与下)。頸静脈の怒張を認めない。心音は心尖部を最強点とするⅡ/Ⅵの収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。右上下肢に弛緩性麻痺を認める。
検査所見:血液所見:赤血球398万,Hb 10.2g/dL,Ht 34%,白血球8,800,血小板22万,PT-INR 2.1(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL,AST 18U/L,ALT 12U/L,尿素窒素22mg/dL,クレアチニン1.2mg/dL,Na 138mEq/L,K 4.8mEq/L,Cl 109mEq/L。頭部CTで左被殻に広範な高吸収域を認める。
 CT撮影を終え処置室に戻ってきたところ,呼吸状態が悪化した。舌根沈下が強く,用手気道確保を行ったがSpO2の改善がみられなかった。
 この患者にまず行う気道管理として適切なのはどれか。

正解
a
国試正答率
49%

Assessment
①高血圧症と心房細動に対して降圧薬と抗凝固薬との内服治療

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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