問題番号 : 112C59

本問は,112C57~59の連問の一部です。

 63歳の女性。結腸癌のため開腹手術が予定されている。
現病歴:2か月前に受けた健診で貧血と便潜血反応陽性とを指摘された。2週間前の下部消化管内視鏡検査で上行結腸に腫瘤を認め,生検で大腸癌と診断された。胸腹部CTで転移を認めなかった。上行結腸切除術が予定されている。労作時の息切れや胸部圧迫感,動悸,腹痛,便秘,下痢および体重減少を認めない。
既往歴:45歳ごろから,高血圧症と糖尿病のため内服治療中。
生活歴:営業職で外回りをしている。ゴルフが趣味で現在も続けている。喫煙は20本/日 を40年間。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父親が心筋梗塞で死亡。母親が胃癌で死亡。
現 症:意識は清明。身長155cm,体重62kg。体温36.2℃。脈拍84/分,整。血圧154/84mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜は貧血様であり,眼球結膜に黄染を認めない。表在リンパ節を触知しない。頸静脈の怒張を認めない。頸部で血管雑音を聴取しない。胸骨右縁第2肋間にてⅢ/Ⅵの収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。神経学的所見に異常を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白1+,糖(-)。血液所見:赤血球410万,Hb 10.8g/dL,Ht 34%,白血球6,400,血小板24万,PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL,アルブミン4.0g/dL,総ビリルビン0.3mg/dL,AST 26U/L,ALT 32U/L,尿素窒素24mg/dL,クレアチニン1.0mg/dL,血糖116mg/dL,HbA1c 6.6%(基準4.6~6.2),総コレステロール204mg/dL,トリグリセリド180mg/dL,HDLコレステロール46mg/dL,Na 138mEq/L,K 4.4mEq/L,Cl 102mEq/L。CRP 0.3mg/dL。胸部エックス線写真と心電図とに異常を認めない。
手術後の経過:手術は問題なく終了した。術後4日目早朝の体温は37.5℃であった。意識は清明。脈拍88/分,整。血圧124/70mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96%(room air)。呼吸音に異常を認めない。腹部に圧痛を認めない。手術創周囲に発赤と腫脹とを認めない。肋骨脊柱角に叩打痛を認めない。2時間後に再測定したところ,体温は37.0℃であった。術後4日目の朝の血液検査では,Hb 9.4g/dL,白血球6,800,CRP 1.7mg/dLであった。胸部エックス線写真で異常を認めない。

 この時点での対応として適切なのはどれか。

正解
e
国試正答率
98%

Assessment
①手術は問題なく終了
②術後4日目,体温37.5℃(再検

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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