本問は,112B44~45の連問の一部です。
74歳の女性。持続する前胸部痛のため来院した。
現病歴:本日午前7時45分,朝食の準備中に突然,咽頭部に放散する前胸部全体の痛みと冷汗とを自覚した。意識消失,呼吸性の痛みの変動および胸部の圧痛はなかったという。ソファに横になっていたが症状が持続するため,家族に連れられて自家用車で午前8時15分に来院した。症状を聞いた看護師が重篤な状態と判断し,直ちに救急室に搬入した。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:特記すべきことはない。
家族歴:父親が80歳時に脳出血で死亡。母親が84歳時に胃癌で死亡。
現 症:意識は清明。身長158cm,体重56kg。体温36.5℃。脈拍92/分,整。血圧120/80mmHg。呼吸数18/分。SpO2 99%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。直ちに施行した心電図(A)を以下に示す。
検査所見(午前8時25分の採血):血液所見:赤血球416万,Hb 12.6g/dL,Ht 36%,白血球9,800,血小板20万,Dダイマー0.7μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:AST 26U/L,ALT 30U/L,LD 254U/L(基準176~353),CK 118U/L(基準30~140),尿素窒素16mg/dL,クレアチニン1.6mg/dL,血糖98mg/dL,心筋トロポニンT陰性。胸部エックス線写真で異常を認めない。
緊急処置の準備中,突然,うめき声とともに意識消失した。呼吸は停止しており脈を触れない。胸骨圧迫とバッグバルブマスクによる換気を開始した。このときのモニター心電図(B)を以下に示す。
この患者に直ちに行うべきなのはどれか。