本問は,112B40~41の連問の一部です。
22歳の女性。腹痛,嘔吐および発熱を主訴に来院した。
現病歴:午前6時ごろから心窩部痛を自覚した。痛みは徐々に右下腹部に移動し,悪心,嘔吐および発熱が出現したため午前9時に救急外来を受診した。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。
現 症:意識は清明。身長153cm,体重48kg。体温37.6℃。脈拍100/分,整。血圧118/62 mmHg。呼吸数24/分。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で,右下腹部に圧痛を認める。下腿に浮腫を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球368万,Hb 11.9g/dL,Ht 36%,白血球9,800,血小板23万。血液生化学所見:尿素窒素22mg/dL,クレアチニン0.9mg/dL。CRP 5.2mg/dL。腹部超音波検査と腹部単純CTとで虫垂の腫大を認める。
その後の経過:腹痛は持続し,午後5時ごろから体温がさらに上昇し,悪寒を訴えた。体温39.3℃。脈拍124/分,整。血圧80mmHg(触診)。
直ちに手術は必要ないと判断し,入院して抗菌薬による治療を開始することにした。①抗菌薬投与の指示を出す際に,適切な溶解液が分からず薬剤部に問い合わせた。②末梢静脈へのカテーテルの刺入を2回失敗し,3回目で成功した。③抗菌薬投与前に,点滴ボトルに別の患者の名前が記してあることに気が付いた。④正しい抗菌薬の投与を午前11時に開始したところ,30分後に患者が全身の痒みを訴え全身に紅斑が出現した。⑤抗菌薬を中止し様子をみたところ,午後2時までに紅斑は消退した。
インシデントレポートの作成が必要なのは下線のどれか。