問題番号 : 111I54

72歳の女性。発熱と歩行障害とを主訴に来院した。1か月前から38℃を超える発熱が持続し,抗菌薬を内服しても軽快しなかった。体重が3か月で4kg減少した。2週間前から左手の小指がジンジンするようになり,1週間前から右足趾にも同様の症状が出現するとともに右足が下垂してきたため受診した。意識は清明。身長148cm,体重38kg。体温37.7℃。脈拍96/分,整。血圧138/84mmHg。呼吸数18/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。上肢の筋力は正常で,右前脛骨筋と長母趾伸筋の筋力は徒手筋力テストで2である。左尺骨神経領域と右総腓骨神経領域とに全感覚低下を認める。尿所見:蛋白2+,糖(-),潜血3+,沈渣に赤血球50~100/1視野,硝子円柱1/数視野,尿蛋白2.5g/日。血液所見:赤血球340万,Hb 9.5g/dL,Ht 32%,白血球17,700(桿状核好中球1%,分葉核好中球88%,好酸球1%,好塩基球1%,単球2%,リンパ球7%),血小板16万。血液生化学所見:総蛋白5.0g/dL,アルブミン3.4g/dL,尿素窒素44mg/dL,クレアチニン2.6mg/dL。CRP 14mg/dL。右腓腹神経生検のH-E染色標本を別に示す。
 診断に最も有用なのはどれか。

正解
b
国試正答率
82%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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