問題番号 : 111E65

本問は,111E63~65の連問の一部です。

 46歳の男性。心窩部から左前胸部にかけての痛みを主訴に来院した。
現病歴:本日,午前9時,職場の会議中に心窩部から左前胸部にかけての締め付けられるような痛みが出現した。同時に咽頭部と左肩にも痛みを感じたという。そのまま安静にしていたところ,15分程度で改善したため様子をみていたが,午前9時30分,会議終了時に再び発作が生じた。これも15分程度で治まったが,症状が繰り返すため心配になって,仕事を早退して午前10時30分に来院した。
既往歴:10年前から高血圧症と脂質異常症で内服治療中。
生活歴:妻と2人暮らし。喫煙は40歳まで10本/日を20年間。飲酒は機会飲酒。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長162cm,体重60kg。脈拍60/分,整。血圧140/80mmHgで左右差を認めない。呼吸数16/分。SpO2 99%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-)。血液所見:赤血球450万,Hb 13.3g/dL,Ht 40%,白血球6,200(桿状核好中球2%,分葉核好中球58%,好酸球3%,好塩基球1%,単球8%,リンパ球28%),血小板18万,Dダイマー0.6μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:AST 32U/L,ALT 45U/L,LD 260U/L(基準176~353),CK 98U/L(基準30~140),尿素窒素11mg/dL,クレアチニン0.9mg/dL。心筋トロポニンT陰性。胸部エックス線写真(A)と心電図(B)とを別に示す。心エコーで前壁から心尖部にかけて軽度の収縮性低下を認める。
 今後,繰り返し検査して経時的に所見を確認すべきなのはどれか。2つ選べ

正解
b, c
国試正答率
90%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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