問題番号 : 111E41

68歳の女性。易疲労感と咳嗽とを主訴に来院した。6か月前から左上葉肺癌で抗癌化学療法と放射線療法とを受けていた。2か月前に治療は終了し経過観察されている。2週間前から易疲労感と乾性咳嗽があり,次第に悪化したため受診した。身長160cm,体重58kg。体温36.6℃。脈拍88/分,整。血圧126/80mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜は軽度貧血様である。心音に異常を認めないが,左胸部で気管支呼吸音と軽度のwheezesを聴取する。血液所見:赤血球389万,Hb 10.2g/dL,Ht 32%,白血球5,800,血小板25万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL,アルブミン3.7g/dL,総ビリルビン0.3mg/dL,AST 16U/L,ALT 13U/L,LD 273U/L(基準176~353),クレアチニン0.9mg/dL,Na 143mEq/L,K 4.4mEq/L,Cl 105mEq/L,CEA 4.8ng/mL(基準5以下)。CRP 1.3mg/dL。胸部エックス線写真(A)と肺野条件の胸部CT(B)とを別に示す。
 最も考えられるのはどれか。

正解
b
国試正答率
95%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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