問題番号 : 111D34

72歳の女性。意識障害のため救急車で搬入された。10日前から38℃台の発熱が出現し,4日前から健忘が目立つようになった。今朝,呼びかけに反応が悪いため家族が救急車を要請した。60歳台から糖尿病で内服治療中である。意識レベルはJCSⅡ-10。体温38.4℃。心拍数96/分,整。血圧142/88mmHg。呼吸数24/分。SpO2 98%(リザーバー付マスク 10L/分 酸素投与下)。胸部聴診で両肺にrhonchiを聴取する。項部硬直を軽度に認める。腱反射は全般に低下しており,Babinski徴候は陰性である。血液所見:赤血球398万,白血球6,500。血液生化学所見:血糖179mg/dL,HbA1c 8.2%(基準4.6~6.2)。免疫血清学所見:CRP 4.3mg/dL,Tリンパ球CD4/CD8比1.9(基準0.6~2.9),β-D-グルカン5.0pg/mL(基準10以下)。ツベルクリン反応陰性。脳脊髄液所見:初圧320mmH2O(基準70~170),細胞数86/mm3(基準0~2)(単核球58,多形核球28),蛋白195mg/dL(基準15~45),糖3mg/dL(基準50~75)。脳脊髄液の細胞診は陰性。脳脊髄液の染色標本(A),肺野条件の胸部CT(B)及び頭部MRIの拡散強調像(C)を別に示す。
 治療薬はどれか。

正解
b
国試正答率
93%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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