本問は,111B50~52の連問の一部です。
78歳の男性。倦怠感と口渇を訴え,通院中の病院を受診した。
現病歴:68歳時に人間ドックで高血糖を指摘されて治療を開始した。3か月ごとに定期受診しており毎朝1錠の内服薬で,これまでHbA1cは6%台であった。1か月前から倦怠感とのどの渇きが出現した。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。
家族歴:父親は肺癌で死亡。母親は胃癌で死亡。糖尿病の家族歴はない。
現 症:意識は清明。身長162cm,体重53kg。体温36.2℃。脈拍80/分,整。血圧134/82mmHg。呼吸数18/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は軽度乾燥している。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。振動覚と腱反射は正常である。
検査所見:尿所見:蛋白(±),糖3+,ケトン体1+,潜血(-),沈渣に異常を認めない。血液所見:赤血球444万,Hb 12.9g/dL,Ht 43%,白血球6,000(好中球54%,好酸球2%,好塩基球0%,単球8%,リンパ球36%),血小板19万。血液生化学所見:総蛋白6.9g/dL,アルブミン3.5g/dL,総ビリルビン0.6mg/dL,直接ビリルビン0.3mg/dL,AST 22U/L,ALT 19U/L,LD 186U/L(基準176~353),ALP 186U/L(基準115~359),γ-GTP 17U/L(基準8~50),アミラーゼ352U/L(基準37~160),CK 132U/L(基準30~140),尿素窒素20mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL,尿酸4.0mg/dL,血糖235mg/dL,HbA1c 8.9%(基準4.6~6.2),総コレステロール147mg/dL,トリグリセリド64mg/dL,HDLコレステロール51mg/dL,Na 140mEq/L,K 4.4mEq/L,Cl 105mEq/L,Ca 9.1mg/dL,P 3.0mg/dL,TSH 3.0μU/mL(基準0.2~4.0),FT4 1.2ng/dL(基準0.8~2.2)。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。
精査の結果,腹部CTで膵尾部に径2cmの腫瘤影を認め,膵癌と診断された。本人や家族と相談の結果,膵尾部切除術を行うこととなった。
術前の血糖コントロールの方法として適切なのはどれか。