問題番号 : 110I76

66歳の男性。労作時呼吸困難を主訴に来院した。 約1年前から労作時の息切れを自覚するようになったが,徐々に増強するため受診した。会社の健康診断で3年前から胸部エックス線写真で両側の下肺野に淡い浸潤影を指摘されていた。喫煙は現在まで20本/日を46年間。 粉塵曝露の生活歴はない。意識は清明。身長170 cm,体重65 kg。体温36.3℃。 脈拍64/分,整。血圧130/70 mmHg。呼吸数20/分 SpO2 96%(room air) 心音に異常を認めない 両側の下背部でfine cracklesを聴取する。血液所見:赤血球430万, Hb 14.9 g/dL,Ht 42%,白血球7,300,血小板20万。血液生化学所見:AST 28 IU/L,ALT 18 IU/L,LD 370 IU/L(基準176~353),CK 42 IU/L(基準30~140),尿素窒素12 mg/dL,クレアチニン0.6 mg/dL, KL-6 780 U/mL(基準500未満)。CRP 0.2 mg/dL。 胸部エックス線写真(A)と胸部CT(B)とを別に示す。
  この患者の検査結果で予測されるのはどれか。2つ選べ

正解
a, d
国試正答率
83%

画像診断
上画像参照。
無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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