問題番号 : 110I54

65歳の女性。繰り返す発熱,咳嗽および呼吸困難のため入院中である。10日前に発熱,咳嗽および呼吸困難のため来院した。胸部エックス線写真で全肺野に陰影が認められたため,ニューキノロン系薬を処方された。治療開始後1週間経過したが症状が増悪したため入院となった。入院後,血液培養や喀痰培養から原因菌は検出されなかった。ペニシリン系抗菌薬を投与され,5日後には症状および胸部エックス線写真の所見が改善したため退院となった。しかし,帰宅した翌日に発熱,咳嗽および呼吸困難が再発し,再度入院となった。喫煙歴はない。再入院時,意識は清明。身長153 cm,体重53 kg。体温38.0℃。脈拍84/分,整。血圧120/70 mmHg。呼吸数28/分。SpO2 88%(room air)。頸静脈の怒張を認めない。心音に異常を認めない。呼吸音は背部にfine cracklesを聴取する。下腿に浮腫を認めない。血液所見:赤血球486万,Hb 13.9 g/dL,Ht 41%,白血球9,800(桿状核好中球9%,分葉核好中球53%,好酸球1%,好塩基球1%,単球5%,リンパ球31%),血小板26万。血液生化学所見:LD 280 IU/L(基準176~353),尿素窒素9.6 mg/dL,クレアチニン0.6 mg/dL。CRP 4.5 mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.48,PaCO2 35 Torr,PaO2 60 Torr,HCO3 25 mEq/L。再入院時の胸部エックス線写真(A)と胸部CT(B)とを別に示す。
 可能性の高い疾患はどれか。

正解
a
国試正答率
72%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

無料会員登録して、解説をすべて見る