問題番号 : 110H35

本問は,110H35~36の連問の一部です。

 70歳の女性。発熱,咳嗽,喀痰および呼吸困難を主訴に来院した。
現病歴:3日前から咳嗽と喀痰とを自覚していた。その後,徐々に呼吸困難を感じるようになり,昨晩から発熱も認めたため,家族の運転する車で受診した。
既往歴:32歳時に虫垂炎。気管支喘息のため,5年前から時々吸入薬を使用している。
生活歴:長女夫婦と孫との4人暮らし。喫煙歴と飲酒歴はない。ADLは自立している。家事を分担しながら近所の児童館で読み聞かせのボランティアをしている。この1年間で特記すべき旅行歴はない。
現 症:意識は清明。身長153 cm,体重48 kg。体温38.1℃。脈拍92/分,整。血圧118/62 mmHg。呼吸数24/分。SpO2 93%(room air)。頸静脈の怒張を認めない。心音に異常を認めない。右側の下胸部でcoarse cracklesを聴取する。下腿に浮腫を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球368万,Hb 11.9 g/dL,Ht 36%,白血球9,800,血小板23万。血液生化学所見:尿素窒素22 mg/dL,クレアチニン1.2 mg/dL。CRP 5.2 mg/dL。
その後の経過:酸素投与を開始し,胸部エックス線撮影を行った。撮影室から車椅子で救急外来に戻ったところで突然意識レベルがJCSⅡ-30に低下した。橈骨動脈の脈拍は触知不能。すぐにベッドに移した。脈拍(頸動脈)124/分,整。
 直ちに行うべきなのはどれか。

正解
c
国試正答率
91%

Assessment
①70歳の女性,3日前から咳嗽,喀痰。その後,呼吸困難。

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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