問題番号 : 110F31

本問は,110F30~31の連問の一部です。

 61歳の男性。腹部膨満感と意識障害とを主訴に家族に連れられて来院した。
現病歴:3か月前から全身倦怠感を自覚していた。1か月前から食欲低下と下腿の浮腫とがあり,2週前から腹部膨満感とふらつきも出現して外出ができなくなった。本日朝から発熱を認め,傾眠状態となったため家族に連れられて受診した。
既往歴:47歳時に人間ドックで肝機能異常と耐糖能異常とを指摘されたが医療機関を受診していなかった。
生活歴:喫煙は20本/日を40年間。脚本家で,若い頃から飲酒をしながら深夜まで仕事をするのが習慣化している。
家族歴:母親が脳出血で死亡。
現 症:意識レベルはJCSⅠ-2。身長169 cm,体重79 kg。体温37.9℃。脈拍84/分,整。血圧134/78 mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認める。呼気にアンモニア臭を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨隆しているが軟で,波動を認める。圧痛と筋性防御とを認めない。直腸指診で黒色便の付着を認める。四肢に運動麻痺はなく,下腿に浮腫を認める。
検査所見:血液所見:赤血球328万,Hb 8.8 g/dL,Ht 27%,白血球9,500(桿状核好中球31%,分葉核好中球44%,好酸球1%,好塩基球1%,単球6%,リンパ球17%),血小板9万,PT 48%(基準80~120)。血液生化学所見:総蛋白6.4 g/dL,アルブミン2.5 g/dL,総ビリルビン6.9 mg/dL,直接ビリルビン4.7 mg/dL,AST 118 IU/L,ALT 96 IU/L,LD 377 IU/L(基準176~353),ALP 683 IU/L(基準115~359),γ-GTP 332 IU/L(基準8~50),アミラーゼ50 IU/L(基準37~160),尿素窒素52 mg/dL,クレアチニン1.1 mg/dL,尿酸6.9 mg/dL,血糖100 mg/dL,HbA1c 7.3%(基準4.6~6.2),総コレステロール156 mg/dL,トリグリセリド90 mg/dL,Na 131 mEq/L,K 4.5 mEq/L,Cl 96 mEq/L。CRP 2.4 mg/dL。頭部CTで異常を認めない。腹部造影CTを別に示す。

 次に行うべき検査はどれか。

正解
e
国試正答率
99%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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