問題番号 : 110E61

本問は,110E61~63の連問の一部です。

 72歳の男性。発熱と全身の倦怠感を主訴に来院した。
現病歴:2か月前に37℃台の発熱があり,かかりつけ医から抗菌薬を処方された。7日後に解熱したが,倦怠感と食欲低下は持続していた。10日前から38℃台の発熱があり,再度かかりつけ医を受診した。抗菌薬と解熱薬とを処方されたが,発熱と倦怠感が持続するため受診した。
既往歴:高血圧症と糖尿病で内服治療中。
生活歴:一人暮らし。無職。喫煙は20本/日を50年間。飲酒はビール1,000~1,500 mL/日を50年間。
家族歴:父親が胃癌で死亡。母親が大腸癌で死亡。
現 症:意識は清明。身長182 cm,体重90 kg。体温38.0℃。脈拍108/分,整。血圧138/80 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96%(room air)。皮膚は乾燥している。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥が著明である。頸静脈の怒張を認めない。表在リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。腸蠕動音は正常。肋骨脊柱角に叩打痛を認めない。下腿に浮腫を認めない。神経学的所見に異常を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白1+,糖3+,ケトン体1+,潜血(-),沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球440万,Hb 15.1 g/dL,Ht 44%,白血球14,500(桿状核好中球2%,分葉核好中球88%,好酸球0%,好塩基球0%,単球4%,リンパ球6%),血小板32万,PT 87%(基準80~120)。血液生化学所見:総蛋白7.1 g/dL,アルブミン3.5 g/dL,総ビリルビン0.5 mg/dL,直接ビリルビン0.2 mg/dL,AST 57 IU/L,ALT 43 IU/L,LD 355 IU/L(基準176~353),ALP 349 IU/L(基準115~359),γ-GTP 109 IU/L(基準8~50),アミラーゼ38 IU/L(基準37~160),CK 76 IU/L(基準30~140),尿素窒素38 mg/dL,クレアチニン1.1 mg/dL,尿酸9.0 mg/dL,血糖284 mg/dL,HbA1c 9.6%(基準4.6~6.2),総コレステロール174 mg/dL,トリグリセリド179 mg/dL,Na 135 mEq/L,K 4.9 mEq/L,Cl 105 mEq/L。CRP 11 mg/dL。心電図で洞性頻脈を認める。胸部エックス線写真で異常を認めない。
その後の経過:精査のため入院とし,腹部超音波検査で肝膿瘍を認めた。超音波ガイド下膿瘍穿刺吸引検査を行い,採取した穿刺液を培養検査に提出し,抗菌薬の投与を開始した。培養検査ではGram陽性球菌が検出された。

 原因菌として可能性が高いのはどれか。2つ選べ

正解
a, c
国試正答率
31%

Assessment
 経口糖尿病薬治療中であるが,HbA1cは9.6%と血糖

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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