問題番号 : 110D31

34歳の女性。労作時の息切れと易疲労感とを主訴に来院した。1か月前から,階段昇降時に息切れと疲労感とを自覚するようになった。その後,症状が続くため心配になって受診した。意識は清明。体温36.1℃。脈拍64/分,整。血圧110/76 mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。左の鎖骨上窩に径1 cmのリンパ節を3個触知する。胸部の聴診でⅢ音を聴取するが,呼吸音に異常を認めない。眼所見と神経学的所見とに異常を認めない。血液所見:赤血球512万,Hb 14.6 g/dL,白血球3,900,血小板28万。血液生化学所見:総蛋白6.5 g/dL,アルブミン3.8 g/dL,AST 27 IU/L,ALT 42 IU/L,LD 151 IU/L(基準176~353),CK 37 IU/L(基準30~140),クレアチニン0.9 mg/dL,Ca 9.8 mg/dL,P 4.5 mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.1 mg/dL,抗核抗体陰性,ACE 41.2 U/L(基準8.3~21.4),可溶性IL-2受容体726 U/mL(基準550以下)。胸部エックス線写真で両側の肺門リンパ節の腫脹を認める。心電図は洞調律で心拍数68/分,不完全右脚ブロックを認める。心エコーで左室拡張末期径64 mm,左室駆出率34%,左室壁厚は中隔,後壁とも9 mmで心室中隔基部の菲薄化を認める。左の鎖骨上リンパ節の生検組織のH-E染色標本(A)(B)を別に示す。
 この患者で,心不全の治療とともに行うべきなのはどれか。

正解
d
国試正答率
85%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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