問題番号 : 110C30

本問は,110C30~31の連問の一部です。

 23歳の女性。発熱を主訴に紹介されて来院した。
現病歴:3日前の朝,38.2℃の発熱を認めた。市販の解熱鎮痛薬を内服すると,一時的に体温は37℃台前半まで解熱したが,数時間して再び38.5~40℃に上昇した。今朝からは,悪寒,戦慄を伴う40℃台の発熱が続いたため自宅近くの診療所を受診した。腰部が重苦しいが,頭痛,咽頭痛,鼻汁,咳嗽,胸痛,腹痛および下痢の症状はない。インフルエンザウイルス迅速抗原検査と胸部エックス線撮影で異常を認めなかった。発熱の原因精査のため同時に施行した尿検査と血液検査の結果を持参し,紹介されて受診した。
既往歴:小児期にアトピー性皮膚炎。8歳時に中耳炎。
生活歴:営業担当事務職員。両親と弟の4人暮らし。
家族歴:10日前に弟が胃腸炎で3日間療養した。
検査所見(持参したもの):尿所見:蛋白1+,糖(-),潜血1+,白血球2+。赤沈65 mm/1時間。血液所見:赤血球430万,Hb 13.5 g/dL,Ht 40%,白血球12,000(桿状核好中球15%,分葉核好中球60%,好酸球1%,単球6%,リンパ球18%),血小板38万。血液生化学所見:総蛋白7.0 g/dL,アルブミン4.2 g/dL,AST 28 IU/L,ALT 35 IU/L,LD 210 IU/L(基準176~353),クレアチニン0.7 mg/dL,尿素窒素14 mg/dL,Na 138 mEq/L,K 4.0 mEq/L,Cl 105 mEq/L。CRP 6.5 mg/dL。
現 症:意識は清明。身長165 cm,体重46 kg。体温39.1℃。脈拍96/分,整。血圧106/60 mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。

 この患者でみられる可能性が高い身体所見はどれか。

正解
d
国試正答率
99%

Assessment
①3日間持続する発熱,悪寒・戦慄を伴う ⇒ 感染症が示唆

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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