問題番号 : 110C29

本問は,110C28~29の連問の一部です。

 67歳の女性。息苦しさを主訴に来院した。
現病歴:5年前から労作時に呼吸困難を自覚していた。風邪をひくと回復が遅く,自宅近くの診療所で去痰薬の処方を受けていた。2か月前から安静時にも呼吸困難を自覚するようになり,数日前から症状が悪化したため受診した。
既往歴:60歳から高血圧症にて内服治療中である。
生活歴:喫煙は20本/日を45年間。飲酒は機会飲酒。朝の散歩を日課としていたが2か月前から息苦しいためやめている。
家族歴:父親が肺癌で死亡。
現 症:意識は清明。身長162 cm,体重42 kg。体温36.4℃。脈拍64/分,整。血圧130/72 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 90%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。胸部の聴診で,心音はⅠ音とⅡ音の減弱を認める。呼吸音は減弱している。
検査所見:血液所見:赤血球434万,Hb 13.5 g/dL,Ht 40%,白血球7,400,血小板23万。血液生化学所見:総蛋白6.7 g/dL,アルブミン3.7 g/dL,総ビリルビン0.5 mg/dL,AST 25 IU/L,ALT 30 IU/L,LD 195 IU/L(基準176~353),ALP 189 IU/L(基準115~359),クレアチニン0.9 mg/dL。CRP 0.2 mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.41,PaCO2 55 Torr,PaO2 62 Torr,HCO3 34 mEq/L。呼吸機能検査:%VC 80%,FEV1% 38%。胸部エックス線写真では両側で肺野の透過性亢進と横隔膜の平低化とを認める。

 この患者の病状悪化とともに増加または上昇するのはどれか。

正解
b
国試正答率
99%

Assessment
①5年前から労作時呼吸困難,2か月前から安静時呼吸困難,

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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