問題番号 : 110B55

本問は,110B53~55の連問の一部です。

 78歳の男性。異常な言動を心配した家族に伴われて来院した。
現病歴:2年前から,前日の出来事を思い出せなかったり,当日の予定を30分おきに確認するようになった。同時期から夜間に大きな寝言を言ったり,手足をバタバタさせていることに家族が気付くようになった。1年前から,家にいるのに,家に帰らないといけない,亡くなった人が来ているというようになった。このころから動作が遅く,食事や着替えに時間がかかるようになった。数日前からは繰り返し,ものをとられた,隣人が自分の悪口を言っているといって騒ぎ立てるようになったため,困惑した家族に伴われて受診した。
既往歴:75歳時に両側の白内障手術。
家族歴:父親が脳梗塞。母親が胃癌。
生活歴:喫煙は65歳まで10本/日を45年間。13年前から禁煙している。飲酒は機会飲酒。76歳の妻と長女夫婦と同居している。
現 症:意識は清明。身長168 cm,体重62 kg。体温36.3℃。脈拍72/分,整。血圧148/82 mmHg。呼吸数16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール12点(30点満点),Mini-Mental State Examination〈MMSE〉14点(30点満点)。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で,Babinski徴候は陰性。運動麻痺,感覚障害および運動失調を認めない。歩行はやや不安定でつまずきやすい。
検査所見:尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球418万,Hb 13.2 g/dL,Ht 42%,白血球6,300,血小板23万,PT 78%(基準80~120)。血液生化学所見:総蛋白7.2 g/dL,アルブミン4.0 g/dL,総ビリルビン0.8 mg/dL,AST 22 IU/L,ALT 38 IU/L,LD 328 IU/L(基準176~353),ALP 254 IU/L(基準115~359),γ-GTP 26 IU/L(基準8~50),アミラーゼ95 IU/L(基準37~160),CK 96 IU/L(基準30~140),尿素窒素18 mg/dL,クレアチニン0.8 mg/dL,尿酸6.3 mg/dL,血糖102 mg/dL,HbA1c 5.8%(基準4.6~6.2),総コレステロール242 mg/dL,トリグリセリド186 mg/dL,Na 136 mEq/L,K 4.2 mEq/L,Cl 98 mEq/L,TSH 3.8 μU/mL(基準0.2~4.0),FT3 2.6 pg/mL(基準2.5~4.5),FT4 1.0 ng/dL(基準0.8~2.2)。CRP 0.4 mg/dL。脳血流SPECT(A)とドパミントランスポーターSPECT(B)とを別に示す。

 この患者に適切な薬剤はどれか。

正解
b
国試正答率
47%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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