本問は,109F26~27の連問の一部です。
51歳の男性。上腹部痛を主訴に来院した。
現病歴:3日前から上腹部の強い痛みと悪心とを自覚していた。これまでも時々,空腹時に上腹部膨満感が出現することがあり市販の薬を内服していた。便通は毎日あり,もともと軟らかい方である。今朝から倦怠感を少し感じたため受診した。発熱や息切れはない。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒はウイスキー60 mL/日を30年間。
家族歴:母親が60歳時にくも膜下出血で死亡。父親がAlzheimer型認知症を発症し72歳時に胃癌で死亡。
医療面接は以下のように続いた。
患 者「…ということで当時は親戚中がもめており,父が亡くなったときは正直言ってホッとしたことを思い出します」
医 師「そうでしたか。つらい思い出をお話しくださってありがとうございました」
患 者「いえいえ。もうずいぶん前のことですから大丈夫ですよ」
医 師「それで,今回のおなかの痛みについて何か思い当たることはありますか」
患 者「実は,父が自分と同じように長い間胃が悪くて,検査の結果ピロリ菌陽性だったそうで,ひょっとしたら自分もそうではないかと」
医 師「そういうご事情があったのですね」
現 症:意識は清明。身長174 cm,体重67 kg。体温36.5℃。脈拍96/分,整。血圧100/62 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 97%(room air)。皮疹を認めない。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝・脾を触知しない。心窩部から右季肋部にかけて圧痛を認める。反跳痛を認めない。直腸指診で異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球340万,Hb 10.0 g/dL,Ht 35%,白血球7,200,血小板16万。CRP 1.5 mg/dL。腹部超音波検査で異常を認めない。
次に行う検査の前に再度確認しておくべきなのはどれか。