本問は,109E66~68の連問の一部です。
58歳の男性。前胸部圧迫感を主訴に来院した。
現病歴:午前11時ころ,庭仕事中に頸部に放散する前胸部圧迫感を初めて自覚した。2分以上続き冷汗も出現するため,看護師をしている妻に助けを求めた。居間にいた妻が駆けつけたときに橈骨動脈の拍動は微弱であり,冷汗を伴う前胸部圧迫感も続くため救急車を要請した。午前11時15分に救急車が現場に到着した際,胸部症状はかなり改善していた。直ちに搬送が開始され,午前11時30分に病院に到着したときには症状は完全に消失していた。
既往歴:36歳時に十二指腸潰瘍。
家族歴:父親が胃癌のため76歳で死亡。
生活歴:喫煙は20本/日を38年間。
現 症:意識は清明。身長168 cm,体重72 kg。体温36.2℃。脈拍76/分,整。血圧122/78 mmHg。呼吸数16/分。SpO2 100%(マスク4 L/分 酸素投与下)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。神経学的所見に異常を認めない。
検査所見:採血時間:午前11時32分 血液所見:赤血球455万,Hb 12.8 g/dL,Ht 38%,白血球7,800,血小板21万,Dダイマー0.8 μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:総蛋白7.2 g/dL,アルブミン3.8 g/dL,心筋トロポニンT陰性,総ビリルビン0.9 mg/dL,AST 32 IU/L,ALT 28 IU/L,LD 222 IU/L(基準176~353),ALP 352 IU/L(基準115~359),γ-GTP 42 IU/L(基準8~50),アミラーゼ88 IU/L(基準37~160),CK 42 IU/L(基準30~140),尿素窒素12 mg/dL,クレアチニン0.6 mg/dL,血糖98 mg/dL,HbA1c 6.2%(基準4.6~6.2),Na 138 mEq/L,K 4.4 mEq/L,Cl 101 mEq/L。胸部エックス線写真で心胸郭比48%,肺野に異常を認めない。心電図を別に示す。続いて行った心エコー検査で左室の前側壁から心尖部にかけて収縮の低下を認めた。
妻が初めに駆けつけたときの収縮期血圧として予想されるのはどれか。