本問は,108E66~68の連問の一部です。
72歳の女性。労作時呼吸困難を主訴に来院した。
現病歴:約半年前から労作時の呼吸困難を自覚していた。当初は階段や急な坂を登る時のみであったが次第に悪化し,より軽い労作でも呼吸困難を感じるようになった。現在では2~3分の平地歩行でも呼吸困難を自覚するようになったが,安静時には症状はない。
既往歴:20歳時に副鼻腔炎手術。38歳時に子宮筋腫手術。10年前から高血圧症に対し内服治療中。
生活歴:喫煙歴はない。1年前から室内でネコを飼っている。
家族歴:夫が3年前に肺癌で死亡。
現 症:意識は清明。身長152 cm,体重52 kg。体温36.1℃。脈拍88/分,整。血圧122/68 mmHg。呼吸数18/分。SpO2 97%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張と口唇のチアノーゼとを認めない。心雑音を聴取しないが胸骨左縁第2肋間でⅡ音の亢進を認める。呼吸音は正常で,呼吸副雑音を聴取しない。腹部診察で異常を認めない。下腿に浮腫を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-)。血液所見:赤血球396万,Hb 13.0 g/dL,Ht 38%,白血球6,800,血小板23万,Dダイマー3.6 μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:総蛋白7.2 g/dL,アルブミン4.2 g/dL,総ビリルビン0.7 mg/dL,AST 22 IU/L,ALT 20 IU/L,LD 256 IU/L(基準176~353),尿素窒素10 mg/dL,クレアチニン0.6 mg/dL,Na 139 mEq/L,K 4.9 mEq/L,Cl 109 mEq/L,脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉140 pg/mL(基準18.4以下)。CRP 0.2 mg/dL。
胸部エックス線写真,胸部造影CT(A)と心電図(B)とを下に示す。
平地歩行をしてもらったところ1分程度で強い息切れを訴え,その時のSpO2は78%(room air)であった。
今後の治療として適切なのはどれか。2つ選べ。