問題番号 : 108C27

本問は,108C26~27の連問の一部です。

 72歳の女性。予診票に「熱がある」と記載されている。医師が待合室に向かって診察室への入室を促した。
医 師「27番の患者さん,こちらの診察室にお入り下さい」
患 者「はい」
医 師「おはようございます。医師のサトウタロウと申します」
患 者「よろしくお願いします」
現病歴:5日前から咳が出るようになった。2日前から咳をすると胸の痛みを感じるようになった。今朝から38.2℃の発熱を認めたため受診した。
既往歴:特記すべきことはない。アレルギー歴はない。
生活歴:喫煙歴はない。
現 症:意識は清明。身長152 cm,体重48 kg。体温38.4℃。脈拍84/分,整。血圧136/82mmHg。呼吸数24/分。SpO2 94%(room air)。心音に異常を認めない。右背部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-),ケトン体(-),潜血(-),沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球410万,Hb 13.1 g/dL,Ht 38%,白血球10,700(桿状核好中球33%,分葉核好中球45%,好酸球1%,好塩基球1%,単球5%,リンパ球15%),血小板20万。血液生化学所見:尿素窒素15 mg/dL,クレアチニン0.8 mg/dL,尿酸3.8 mg/dL,血糖108 mg/dL,Na 140 mEq/L,K 3.7 mEq/L,Cl 105 mEq/L。CRP 9.0 mg/dL。胸部エックス線写真で心胸郭比48%,右の中肺野と肺門部に浸潤影を認める。喀痰のGram染色標本を別に示す。
 抗菌薬として第一選択となるのはどれか。

正解
a
国試正答率
96%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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