問題番号 : 108B60

本問は,108B59~61の連問の一部です。

 22歳の男性。全身の筋力低下のため搬入された。
現病歴:5日前に下痢と悪心とがあった。昨日の起床時に歯ブラシをしっかり握れず,朝食時には箸を使えなかった。昼には両腕を持ち上げることができなくなり,夕食時には舌がもつれて話しにくく,むせるようになった。今朝は起き上がれず,母親が救急車を要請し,即日入院となった。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:大学4年生。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長168 cm,体重63 kg。体温36.8℃。脈拍64/分,整。血圧150/96 mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。認知機能に異常を認めない。両眼の睫毛徴候を認め,鼻唇溝は浅く,口笛を吹くまねができない。構音はやや不明瞭で,軽度の嚥下障害を認める。顔面の感覚には異常を認めない。臥位での頭部挙上ができない。徒手筋力テストで上肢は1~2に低下し,下肢も3に低下している。握力は両側0 kgである。上下肢とも筋萎縮と感覚障害とを認めない。腱反射は上下肢とも消失し,病的反射を認めない。自力歩行はできない。排尿と排便とに異常を認めない。
検査所見:尿所見と血液所見とに異常を認めない。血液生化学所見:総蛋白7.0 g/dL,アルブミン3.9 g/dL,総ビリルビン0.9 mg/dL,AST 33 IU/L,ALT 26 IU/L,CK 86 IU/L(基準30~140),尿素窒素18 mg/dL,クレアチニン0.8 mg/dL,血糖86 mg/dL,Na 138 mEq/L,K 4.4 mEq/L,Cl 97 mEq/L。CRP 0.8 mg/dL。動脈血ガス分析(room air)に異常を認めない。呼吸機能検査:%VC 73.1%,FEV1% 94.5%。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。脳脊髄液所見:初圧155 mmH2O(基準70~170),細胞数2/mm3(基準0~2)(単核球100%),蛋白83 mg/dL(基準15~45),糖69 mg/dL(基準50~75)。
 この患者の確定診断のために入院日と2週後に神経伝導検査を行った。誘発筋電図ではwaningとwaxingとを認めなかった。2週後の尺骨神経の運動神経伝導検査所見を別に示す。なお,尺骨神経の運動神経伝導速度の正常値は45 m/秒以上である。
 この神経伝導検査でみられる所見はどれか。

正解
d
国試正答率
14%

画像診断
上画像参照。

 入院2週後の尺骨神経伝導速度は腋窩-肘部上,肘部上

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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