本問は,108B56~58の連問の一部です。
60歳の男性。オートバイで転倒したため搬入された。
現病歴:2時間前,オートバイで走行中に転倒し大腿部を挟まれた。
既往歴:特記すべきことはない。
現 症:意識レベルはJCSⅠ-3。身長160 cm,体重60 kg。体温35.5℃。脈拍120/分,整。血圧80/50 mmHg。呼吸数24/分。SpO2 98%(リザーバー付マスク10 L/分 酸素投与下)。表情は苦悶様で左大腿部の痛みを訴えている。顔面は蒼白で,皮膚は冷たく湿潤している。心音と呼吸音とに異常を認めない。左大腿部に挫滅創と活動性外出血とを認め,骨が露出している。濃い尿を少量認める。
検査所見:尿所見:比重1.030,蛋白(−),糖(−)。血液所見:赤血球250万,Hb 7.0 g/dL,Ht 21%,白血球13,000(桿状核好中球6%,分葉核好中球70%,単球4%,リンパ球20%),血小板4.5万。PT 20秒(基準10~14),APTT 50秒(基準対照32.2)。血液生化学所見:総蛋白5.0 g/dL,アルブミン3.0 g/dL,尿素窒素20 mg/dL,クレアチニン0.9 mg/dL,血糖120 mg/dL,Na 145 mEq/L,K 5.0 mEq/L,Cl 109 mEq/L。下肢エックス線写真で左大腿骨骨折と左脛骨骨折とを認める。胸部エックス線写真と全身CTで下肢を除いて異常を認めない。
左大腿骨開放骨折に対し,赤血球濃厚液,新鮮凍結血漿および濃厚血小板を準備し,止血,デブリドマン及び骨整復固定術が予定された。急速輸液を行った。
術後2日目,呼吸困難を訴えた。意識レベルはJCSⅡ-10。体温38.0℃。脈拍120/分,整。血圧120/80 mmHg。呼吸数30/分。SpO2 85%(room air)。眼瞼結膜と体幹皮膚に点状出血を認める。両側の胸部でcoarse cracklesとwheezesとを聴取する。心エコー検査で壁運動異常はなく,下大静脈の拡張もない。胸部エックス線写真を別に示す。
病態として考えられるのはどれか。