問題番号 : 108A52

30歳の男性。乾性咳嗽と労作時呼吸困難とを主訴に来院した。8か月前と4か月前に発熱と咳嗽とを自覚し,自宅近くの診療所で急性気管支炎と診断されて抗菌薬を投与され,5日ほどで軽快した。2か月前から乾性咳嗽を自覚し同じ診療所で鎮咳薬を処方されたが改善しなかった。2週前から労作時呼吸困難を自覚するようになり受診した。意識は清明。身長170 cm,体重69 kg。体温36.3℃。脈拍80/分,整。血圧110/68 mmHg。呼吸数22/分。SpO2 98%(room air)。舌に白苔を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球480万,Hb 15.2 g/dL,Ht 43%,白血球4,800(桿状核好中球5%,分葉核好中球74%,好酸球3%,好塩基球1%,単球7%,リンパ球10%),CD4陽性細胞数60/mm3(基準800~1,200),血小板19万。血液生化学所見:総ビリルビン0.6 mg/dL,AST 36 IU/L,ALT 15 IU/L,LD 418 IU/L(基準176~353),尿素窒素9 mg/dL,クレアチニン0.8 mg/dL,KL-6 2,450 U/mL(基準500未満)。免疫血清学所見:CRP 0.4 mg/dL,β-D-グルカン540 pg/mL(基準10以下)。動脈血ガス分析(room air):pH 7.46,PaCO2 38 Torr,PaO2 93 Torr,HCO3 26 mEq/L。胸部エックス線写真で淡いすりガラス陰影を認める。肺野条件の胸部単純CT(A)(B)を別に示す。
 治療薬として適切なのはどれか。

正解
e
国試正答率
89%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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