本問は,107E64~66の連問の一部です。
65歳の男性。物忘れが目立つようになったことを心配した妻に伴われて来院した。
現病歴:1年前から物忘れが多くなったことに妻が気付いた。本人も物忘れを多少は気にしているが,異常とは考えていない。
既往歴:30年前に交通事故で頭部外傷を負ったが,頭部CTでは異常が認められなかった。
生活歴:これまで税理士の仕事を大過なくこなしている。
家族歴:89歳の母親が認知症と診断されている。
現 症:意識は清明。身長170 cm,体重65 kg。体温36.5℃。脈拍84/分,整。呼吸数16/分。礼節は保たれており,診察には協力的である。瞳孔は正円同大で対光反射は直接反射と間接反射とも正常である。他の脳神経に異常を認めない。四肢体幹に異常を認めない。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは26点(30点満点)である。時計描画と透視立方体の模写とが正常に実施できる。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(±)。血液検査と血液生化学検査とでアンモニアを含めて異常を認めない。頭部単純MRIで軽度の側脳室拡大が見られる。脳波は,基礎波で9ヘルツのα波であり,開眼によるα波抑制は良好である。
定期的に受診するように説明していたが受診せず,前回受診時から1年後に受診した。妻の話では,同じ事を何度も尋ねるようになり,かかってきた電話の内容を忘れることが多くなったという。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは20点に低下していた。頭部単純MRIのFLAIR冠状断像を別に示す。
治療薬として適切なのはどれか。