問題番号 : 107D29
65歳の男性。呼吸困難を主訴に救急外来を受診した。2週前から労作時の息切れを自覚するようになった。午前2時ころ呼吸困難が出現し,徐々に増強し,座位をとっていた。午前5時の来院時,脈拍120/分,不整。血圧78/50 mmHg。呼吸数25/分。SpO2 84%(room air)。頸静脈の怒張を認める。Ⅲ音と両肺のcoarse cracklesとを聴取する。両下肢は冷たく,両下腿に浮腫を認める。胸部エックス線写真を別に示す。 この患者で予想される血行動態はどれか。
画像診断:上画像参照。Assessment:
無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。