問題番号 : 107B53

本問は,107B52~54の連問の一部です。

 88歳の女性。食事をとらないことを心配した家族から訪問診療の際に相談を受けた。
現病歴:5年前にAlzheimer型認知症と診断された。数年前から下肢筋力が低下していた。数か月前からは長男の妻の介助だけでは車椅子乗車も不可能となり,ほとんど臥床している状態となった。通院が困難なため訪問看護と訪問診療が開始となった。長男の妻によれば「最近,食事をとらないことが多く,義歯をはめると嫌がり,むせることも多い」という。
既往歴:高血圧症のため内服加療中。
生活歴:夫は5年前に死亡。長男夫婦と同居。主な介護者は長男の妻である。要介護4。1日1回の訪問介護と,週に3回のデイサービスを利用している。排泄にはオムツを使用している。食事は家族の介助で摂取している。入浴はデイサービスを利用している。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:身長145 cm,体重30 kg(1か月前の体重は32 kgであった)。体温35.8℃。脈拍56/分,整。血圧92/70 mmHg。呼吸数12/分。SpO2 97%(room air)。皮膚はやや乾燥している。眼瞼結膜に異常を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。口腔粘膜に異常を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心尖部にⅡ/Ⅵ度の汎収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。四肢に軽度の浮腫を認める。
検査所見:血液所見:赤血球368万,Hb 11.9 g/dL,Ht 38%,白血球5,300,血小板12万。血液生化学所見:血糖90 mg/dL,総蛋白5.9 g/dL,アルブミン2.9g/dL,尿素窒素25 mg/dL,クレアチニン0.9 mg/dL,総コレステロール186 mg/dL,トリグリセリド70 mg/dL,総ビリルビン0.7 mg/dL,AST 20 IU/L,ALT 12 IU/L,ALP 273 IU/L(基準115~359),γ-GTP 25 IU/L(基準8~50),CK 28 IU/L(基準30~140),Na 131 mEq/L,K 3.2 mEq/L,Cl 97 mEq/L。

 訪問診療の1週後,同居する長男とその妻に嘔吐と下痢とが出現し急性胃腸炎と診断された。翌日,患者にも嘔吐と下痢とが認められた。
 適切な対応はどれか。

正解
d
国試正答率
88%

Assessment
 家族にみられた嘔吐と下痢,急性胃腸炎との診断。家族性に

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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