問題番号 : 106H34

本問は,106H33~34の連問の一部です。

 74歳の男性。呼吸困難のため搬入された。
現病歴:昨夕37.4℃の発熱があり,咳と痰とを伴っていた。市販の総合感冒薬を内服したが改善しなかった。本日になって体温が38.4℃に上昇し,呼吸困難が出現してトイレまで歩くのもつらくなったため,救急車を要請した。
既往歴:生来健康で,昨年の特定健康診査では異常を指摘されていない。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は日本酒1合/日を50年間。
家族歴:妹が胃癌で治療中。
現 症:意識は清明。体温38.1℃。脈拍112/分,整。血圧146/92 mmHg。呼吸数28/分。SpO2 96%(2 L/分酸素投与下)。心音に異常を認めない。座位で右前胸部の下方と右背部の下方にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。四肢に浮腫を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球380万,Hb 11.9 g/dL,Ht 38%,白血球11,000(桿状核好中球25%,分葉核好中球51%,好酸球1%,好塩基球1%,単球4%,リンパ球18%),血小板21万。血液生化学所見:総蛋白7.3 g/dL,アルブミン3.8 g/dL,尿素窒素21 mg/dL,クレアチニン0.9 mg/dL,AST 28 IU/L,ALT 16 IU/L,LD 370 IU/L(基準176~353)。CRP 19 mg/dL。喀痰Gram染色で,Gram陽性双球菌の白血球による貪食像を多数認める。胸部エックス線写真で右下肺野に広範な区域性の浸潤影を認める。
 検査終了後,この患者のプロブレムリストを作成するにあたり,プロブレムとして最も適切なのはどれか。

正解
d
国試正答率
90%

Assessment
①74歳の男性 ⇒ 高齢の男性
②咳,痰,38.4℃の発

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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