問題番号 : 106H30

50歳の男性。発熱と咳とを主訴に来院した。3日前に咳が出現した。昨日から痰を伴うようになり,悪寒も自覚したため,救急外来を受診した。生来健康で,気管支喘息の既往はない。体温38.5℃。心拍数104/分,整。血圧110/70 mmHg。呼吸数20/分。聴診上,右前胸部で呼吸音の減弱を認めた。coarse cracklesとwheezesとを認めない。肺炎の診断に関する文献を調べたところ,「気管支喘息がない」,「体温>37.8℃」,「心拍数>100/分」,「呼吸音が減弱している」,「coarse cracklesを聴取する」の5項目に該当する項目数によって,尤度比を予測できることが報告されていた。その対応関係を示す。

 病歴と身体診察所見に基づき計算した場合に,検査前確率〈事前確率〉に比べた検査後確率〈事後確率〉の変化として適切なのはどれか。

正解
b
国試正答率
67%

選択肢考察
(解答率:×a 0.9%,○b 66.9%,×c 13.6%,×d

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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