問題番号 : 106G62

本問は,106G62~64の連問の一部です。

 75歳の男性。熱感を主訴に来院した。
現病歴:5日前の田植え作業中に咳を自覚し,その後持続していた。痰は少しからむ程度であり,色は白色透明であった。3日前に,37.4℃の発熱があったため自宅にあった総合感冒薬を2日間内服したところ症状は軽快した。頭痛や筋肉痛はなく,田植え作業は継続していた。今朝の体温が36.8℃で,平熱よりも高いことが気になったため受診した。
既往歴:45歳時にオートバイで転倒し脾臓摘出術を受けた。60歳時に高血圧を指摘されたが,医療機関にはかからなかった。インフルエンザワクチンは年1回定期的に受けている。
生活歴:40年来の専業農家で,土に触れる機会が多い。妻との2人暮らし。喫煙は40本/日を45年間。飲酒は日本酒1合/日を30年間。
家族歴:父親が高血圧性脳出血のため65歳で死亡。
現 症:意識は清明。身長163 cm,体重60 kg。体温36.8℃。脈拍72/分,整。血圧140/90 mmHg。呼吸数16/分。SpO2 96%(room air)。聴診上呼吸音は減弱している。
 現時点での主訴への対応として適切なのはどれか。

正解
e
国試正答率
74%

Assessment
①咳,白色透明な痰 ⇒ 気道感染の疑い
②脾臓摘出の既往

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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