問題番号 : 106G50

62歳の女性。数日前からの息切れと全身倦怠感とを主訴に来院した。心不全の治療のために専門外来に通っていたが,症状が安定したので3か月前に自宅近くの診療所を紹介された。同診療所を受診した際,新たに脂質異常症,変形性膝関節症および不眠症と診断され,それぞれに対し3週前から薬物療法が開始されたという。意識は清明。体温36.2℃。脈拍96/分,整。血圧122/88 mmHg。呼吸数16/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。頸静脈の怒張を認める。心尖部でⅢ音を聴取する。両側の胸部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦,軟で,右肋骨弓下に肝を2 cm触知する。脾を触知しない。両側の下腿に圧痕性浮腫を認める。
 この病態の原因になった内服薬として最も考えられるのはどれか。

正解
e
国試正答率
56%

Assessment
 心不全治療中に息切れを認め,頸静脈の怒張,肝触知,圧痕

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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