問題番号 : 106D48

70歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。3週前に感冒様症状が出現し,自宅近くの診療所で抗菌薬と漢方薬とを処方された。その後も症状は改善せず,乾性咳嗽と呼吸困難とが増悪したため,紹介されて受診した。紹介の時点で,診療所の医師から薬の内服を中止するよう指示されたという。意識は清明。体温36.9℃。脈拍88/分,整。血圧122/86 mmHg。呼吸数22/分。SpO2 92%(room air)。聴診で両側の胸部にfine cracklesを聴取する。喀痰検査:Gram染色で有意な菌を認めない。Ziehl-Neelsen染色でGaffky 0号。血液所見:赤血球456万,Hb 12.5 g/dL,Ht 42%,白血球13,140(桿状核好中球10%,分葉核好中球50%,好酸球26%,単球4%,リンパ球10%),血小板26万。血液生化学所見:総蛋白7.3 g/dL,アルブミン3.5 g/dL,総ビリルビン1.7 mg/dL,AST 85 IU/L,ALT 63 IU/L,LD 619 IU/L(基準176~353),ALP 385 IU/L(基準115~359),γ-GTP 171 IU/L(基準8~50)。免疫学所見:CRP 5.2 mg/dL。KL-6 733 U/mL(基準500未満)。サイトメガロウイルス抗原血症〈C7-HRP〉(−),β-D-グルカン8 pg/mL(基準10以下),アスペルギルス抗原陰性。クラミジア・ニューモニエ抗体価とマイコプラズマ抗体価との有意な上昇を認めない。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.50,PaO2 65 Torr,PaCO2 28 Torr,HCO3 21 mEq/L。胸部エックス線写真で両肺野に浸潤影を認める。胸部単純CTを別に示す。
 治療薬として適切なのはどれか。

正解
a
国試正答率
93%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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