問題番号 : 105E60

本問は,105E60~62の連問の一部です。

 38歳の女性。強い息苦しさのため搬入された。
現病歴:3か月前から歩行時に両下肢の疲労感を自覚していたが,休息にて改善していた。2か月前から家事をする際に,両上肢の疲労感を感じ,特にフライパンを持つのに苦労するようになった。これらの症状は朝に比して夕方に強い傾向があった。1か月前からは両側の眼瞼下垂を自覚するようになった。1週前から風邪気味であったが,昨日から動くと息苦しいと訴えていた。今朝,息苦しさが強くなったため救急車を要請した。
既往歴:25歳時に急性虫垂炎で手術。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識レベルはJCSⅡ-20。身長156 cm,体重51 kg。体温37.8℃。呼吸数32/分。脈拍104/分,整。血圧174/66 mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%。両側の眼瞼下垂を認める。眼球運動はほぼ正常であるが,複視がある。四肢筋力は全体に軽度低下(4/5)している。腱反射は正常。感覚系に異常を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-)。血液所見:赤血球463万,Hb 13.2 g/dL,Ht 40%,白血球9,800(分葉核好中球55%,好酸球6%,好塩基球1%,単球5%,リンパ球33%),血小板28万。血液生化学所見:血糖85 mg/dL,HbA1c 5.2%(基準4.3~5.8),総蛋白7.5 g/dL,アルブミン4.5 g/dL,尿素窒素11 mg/dL,クレアチニン0.4 mg/dL,尿酸7.2 mg/dL,総コレステロール183 mg/dL,トリグリセリド120 mg/dL,総ビリルビン0.5 mg/dL,直接ビリルビン0.3 mg/dL,AST 12 IU/L,ALT 7 IU/L,LD 183 IU/L(基準176~353),ALP 288 IU/L(基準115~359),Na 141 mEq/L,K 4.5 mEq/L,Cl 102 mEq/L。CRP 9.8 mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.32,PaCO2 59 Torr,PaO2 74 Torr,HCO3 29 mEq/L。
 直ちに行うべき処置はどれか。

正解
a
国試正答率
91%

Assessment
 四肢筋・外眼筋などの易疲労性(③⑥),日内変動(⑤),

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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